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モビリティの進化で起こる マーケティング変革

DX用語生産性向上

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今年11月に東京ビックサイトにて開催され100万人以上の来場者が訪れたイベントが『ジャパンモビリティショー』です。このイベントは元々日本自動車工業会が長年主催していた『東京モーターショー』がその名称を変更して開催されました。
従来の自動車産業の枠を超え、他業界との連携や新しいテクノロジーによって「未来の日本」を体感するイベントとして新たに生まれ変わりました。

この「モビリティ」というキーワードは近年様々な場面で耳にすることが多くなった言葉です。
そして、このモビリティは移動手段という枠に留まらず、その進歩とともにビジネスやマーケティングという視点でも重要なキーワードと言えます。

今回はこのモビリティとマーケティングの今後の関わり方につてご紹介していきます。

鈴木脩一

鈴木脩一

研究員/広報

調査概要

モビリティとは


英語の「モビリティ(mobility)」は本来「動きやすさ」「流動性」等を意味する言葉です。現在では先程のジャパンモビリティショーに代表されるように移動サービスそのものや関連する技術そのものを広く示す言葉として使用されています。

モビリティ技術の進化とマーケティング


ドローンや自動運転技術に加えて、都市部を中心に見かけることが増えた電動キックボード等近年のモビリティ技術の進化は目覚ましく、機械(ハード)の進歩に留まらずIoTやAI(人工知能)技術の進化を背景に多様化が進んでいることが特徴です。その影響は今後の社会インフラの変革をもたらすだけでなく経済活動やマーケティングにも及んでいます。特にマーケティングにおいては様々なメリットが期待されています。

モビリティがマーケティングに及ぼすメリット


モビリティ技術の進化は、マーケティングに以下のようなメリットをもたらしています。

移動手段としての顧客体験が向上する


進化したモビリティサービスは、まず顧客の移動体験そのものを向上させることに寄与します。自動運転やサポートによる運転操作の負担軽減はもちろん、ネットワークによって様々な情報を取得・提供させることにより単なる移動時間が今後大きく変化することが期待できます。移動するための自動車や乗り物、という考え方から新しい商品価値への移行が起こり新たな市場開拓が期待されています。

新たなマーケティングチャネルの創出


モビリティの進化は、ネットワークと連携することで新たなマーケティングチャネルを生み出すことになります。例えば、既に浸透しつつある大型の車載ディスプレイや搭載されたアプリケーションは、顧客に対する直接的なコミュニケーション手段となります。位置情報に応じた近隣の観光地や店舗情報を随時発信する施策や、エンターテーメントの展開など様々な要素が期待できます。

データ収集と分析による戦略策定


モビリティを利用した顧客の移動パターンや行動データを収集・分析することで、よりパーソナライズされたマーケティング戦略を策定することができます。
個人所有の自動車は勿論ですが、公共交通機関として利用される自動運転のバスなどでも利用状況や時間帯に応じた広告配信を行えることでより従来の交通広告とは大きく異なる展開も期待されています。



モビリティの進化に伴う懸念点


一方で、新しいモビリティ技術の進化には関しては懸念点もいくつか生まれています。

プライバシーとセキュリティの問題


新たなモビリティサービスは、先程もお伝えした通り大量の個人データを収集することが可能です。この大量のデータを活用した様々なサービスは私達に多くのメリットをもたらすことは事実です。
ただし、仮にこの個人データが第三者に漏洩して不正に利用されることがあれば大きな損害も予測されます。リアルタイムに位置情報を把握されたり、誤った情報を配信されたりすることで安全上のリスクが高まることも懸念されています。

地域により異なる規制


先程も触れたプライバシーとセキュリティ、さらには自動車の安全性に関する基準は国や地域によってその考え方が大きく異なる場合があります。自動車大国であるアメリカを例に取ってみても、現状では州によって自動運転に関する法律が異なるケースも産まれています。

そのため、新たな技術を搭載したモビリティそのものの販売戦略はこの各国の規制に大きく影響を与えることになります。さらには、モビリティのメリットに注目したマーケティング戦略でもグローバル展開する場合に地域ごと制約が生じるリスクも懸念されています。そのため、国際的に統一された基準や規格を求める声も少なくありません。

まとめ


今回はモビリティとマーケティングについて取り上げました。
冒頭でお伝えした『ジャパンモビリティショー』では従来のモーターショーの枠を大きく飛び越え、人と社会インフラの新たな価値を予感させる展示会として大きな話題を呼びました。今後もマーケティングの進化に留まらず、私達の生活や社会そのものにも大きな変革がモビリティによって起こることが期待できます。

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