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電子政府の特徴とDX
新たな行政サービスの形

DX用語生産性向上

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DXへの取り組みはビジネスの現場に留まらず、自治体や行政・国単位での取り組みが進められています。それを象徴するのが「電子政府(デジタル政府)という考え方です。早稲田大学総合研究機構電子政府・自治体研究所が発表した研究調査によると*1、この電子政府への進捗度のランキング化では2023年時点でデンマークやカナダ、イギリスや韓国といった国々が上位に位置しています。一方で、日本は調査が開始から初めて10位圏外となり、手続き移行に伴うトラブルやデジタル人材育成などの面でその遅れが指摘されています。
今回の記事ではこの「電子政府」に関してあらためてご紹介致します。

*1 https://www.waseda.jp/inst/research/news/75731

鈴木脩一

鈴木脩一

研究員/広報

調査概要

電子政府とは?


電子政府には様々な定義のなされかたが存在しますが、総務省ではマイナンバー制度の前身である「住基ネット」に関する文章の中で以下のように定義していました。

『電子政府・電子自治体とは、コンピュータやネットワークなどの情報通信技術(IT)を行政のあらゆる分野に活用することにより、国民・住民の方々や企業の事務負担の軽減や利便性の向上、行政事務の簡素化・合理化などを図り、効率的・効果的な政府・自治体を実現しようとするものです。』*2

日本では、行政手続きのデジタル化やデジタル社会を築き上げるために必要な施策を遂行するために、2021年9月からデジタル庁が発足しています。

*2 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/daityo/juuki08.html

電子政府の持つ特色


先進諸国をはじめとして様々な国で電子政府に向けた取り組みが行われていますが、いくつか共通する方向性もあります。特に行政機関内でのデータや手続きの電子化は共通した取り組みがその一つです。また、電子政府を可能にする法律や条例の整備、さらにはネットワークなどの通信インフラを整えることも重要なポイントと言えます。電子政府への取り組みは各機関に横断的に関連するため、首長直轄の専門機関や日本のデジタル庁のように専門の省庁が担うケースが多く見られます。

電子政府のメリット/デメリット


電子政府へと移行するメリットは、国民や企業の行政手続きにかかる負担の軽減や効率化、さらには職員が担う行政事務の簡素化や合理化による質の向上sasaにあります。これが実現すると、結婚・出生届や転入・転出、さらには企業登記や税金に係る申請等を自宅や職場、自分のスマートフォン等からスムーズに行えるようになる社会が期待できます。

一方、今後解決が望まれるデメリットとしては、以上に上げたような手続きを電子申請する場合には、申請する本人であることを証明する手段が必要となります。そのため、日本に先立ってアメリカやフランス、電子政府の先進国であるデンマークなどでは「国民識別番号制度」(日本におけるマイナンバー制度)が採用されており、各自に振り分けられた番号を活用することで本人証明をスムーズなものにしています。

各国の電子政府への取り組み


冒頭でご紹介した電子政府への取り組みランキングで、3年連続1位になっているのがデンマークです。デンマークでは1968年から既に国民識別番号性への取り組みが始まっており、2001年以降からデジタル化が本格的に進められています。



日本のマイナンバーにあたる「NemID」はあらゆる行政手続き等で本人確認を行えるサービスです。2018年からはスマートフォンでの認証も可能となり、オンラインで手続きを完了できる幅が拡大しました。

さらに行政と市民一人ひとりが情報のやり取りをできる、セキュアなコミュニケーションツール「DigitalPost」や、行政からの支援金などを素早く簡易的に給付するために個人の識別番号と紐づいた銀行口座の「NemKonto」などが挙げられます。

まとめ


いかがでしたでしょうか。今回は電子政府についてその特徴や取り組みについてご紹介しました。電子政府による行政サービスの電子化は、市民の生活だけでなく企業を始めとする経済活動の活性化にもつながることが期待できます。そのため、先進諸国だけでなくアジアやアフリカ・中南米の国々も積極的に取り組んでいるのが現状です。
今後日本でもデジタル庁を中心として進むこの電子政府に向けた取り組みかに注目していきたいと思います。



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