活用できるデータと記事

Report & Column

ウェアラブルデバイスの現在地と未来

DX用語生産性向上

SHARE

先日の記事でご紹介したAppleVisionProを初めとするウェアラブルデバイスは、ここ数年でより私達の生活に身近なものになりつつあります。特に情報端末として、エンタメを楽しむための需要が大きく、総務省の資料によると*1端末市場規模は2024年にはその市場規模が290億ドルを超すと言われています。

今回の記事ではこのウェアラブルデバイスについての現在の状況と今後の予測される展望についてご紹介します。


*1 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/html/nf3r1000.html#d03r1150

鈴木脩一

鈴木脩一

研究員/広報

調査概要

ウェアラブルデバイスの歴史


ウェアラブルデバイスは、1990年代頃から「カメラ付きのヘルメット」「コンピューターを搭載したリュックサック」といった極めてシンプルな形からスタートしました。一般の消費者にも広がった最初の大きなブレイクスルーは2009年に発売されたリストバンド型の「Fitbit」と言われています。

「Fitbit」は日常の活動や運動をモニターし、データを収集する目的で着用されるデバイスです。その後2000年代初頭には同様のデバイスが普及し、広くウェアラブルデバイス自体が注目を集め始めました。その後、Apple Watch等のスマートウォッチやスマートグラスなど、より高度な機能を持つデバイスが登場し、ウェアラブルテクノロジーが進化し続けています。

ウェアラブルデバイスの現在の特徴


現在のウェアラブルデバイスは、様々な機能を組み合わせ、ユーザーに健康に関するからSNSの通知まで幅広い情報を提供しています。
特に普及しているスマートウォッチは健康モニタリング、SNSやメッセージ通知、フィットネストラッキングのために広く使用されています。AppleやGoogleといった巨大なプラットフォームを持つ企業も自社のデバイスを発売しており、様々なサービスとの連携が可能です。

スマートグラスは現実の世界に情報を重ねる拡張現実(AR)や複合現実(MR)などの機能を持っています。個人が娯楽で楽しむだけではなく、医療や建築現場などでの活用も進められており、今後産業全体の活性化への貢献も期待できます。

さらに、様々なセンサーを埋め込んで健康管理や普段の動作をサポートする「スマートウェア」や歩数だけでなく走り方の課題等を分析する「スマートシューズ」など、さまざまな形状や用途のウェアラブルデバイスが市場に登場しています。

ウェアラブルデバイスが実現する未来


ウェアラブルデバイスは今後より様々な技術やサービスとの「統合」と、デバイスそのものの「進化」が期待されています。特に、ヘルスケアの分野ではより高度で正確なセンサーが搭載されることで、リアルタイムで健康状態をモニターすることが可能になるでしょう。
拡張現実(AR)技術、仮想現実(VR)技術等の進歩により、スマートグラスやヘッドマウントディスプレイが娯楽だけでなくビジネスの分野でより重要な役割を果たすことが予想されます。
例えば建築や製造の現場ではスマートグラスを装着して、設計図や工程を表示させながら作業を行うことで生産性の向上や技術の早期習得が期待されています。



さらには、ウェアラブルデバイスの新たな展開として体内に極小の端末を埋め込むことで実現する「インプランタブルデバイス」も今後期待されています。
コンタクトレンズの中にセンサーとディスプレイを組み込んだ「スマートコンタクトレンズ」やその代表的な事例として注目されており、日本の大手コンタクトメーカーの「メニコン」も開発に加わっています。



ウェアラブルデバイスに関する懸念点


進化を続けているウェアラブルデバイスですが、いくつかの懸念点も存在します。
プライバシーの問題がその一つで、個人の生体情報や行動履歴が蓄積されることからもデータの適切な管理が求められます。マーケティングデータとしては重要なデータでもあることから、セキュリティとのバランスが重要です。また現在も活用されている個人の健康情報が第三者に不当に知られ、悪用されるリスクも考慮する必要があります。
さらにデバイスのデザインや使用感、価格帯にもまだまだ改善の余地があると言われています。特にヘッドマウントディスプレイのようなデバイスでは機種によって長時間の着用が難しい場合もあり、より快適性を求める声が絶えません。さらに現状ではスマートフォン等と比較しても高価格なこともあり、普及を妨げる要因の一つにもなっています。

まとめ


20世紀後半から生まれたウェアラブルデバイスは、現在では私たちの生活に多くの利益をもたらすことが期待されます。今後は、プライバシーやセキュリティの懸念点ともバランスを保ちつつ、より豊かな社会を実現する技術になることが期待できます。

SHARE

トップに戻る