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【2024年問題】日本版MaaS推進で交通は変わるのか?その現状

DX推進

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主にトラック運転者等を対象にした働き方改革に伴い、社会全体の「モノの輸送能力」が減るのでは…というのがいわゆる「物流の2024年問題」です。この問題は物流に限らず、人の移動に関わる路線バスなどの公共交通機関も例外ではありません。

これまでは人手不足などの問題もあり、一人のドライバーによる長時間勤務に支えられていたのが現状でした。この問題の解決に向けて、民間・行政が連携して取り組んでいる施策の一つが「日本版Maas」です。

今回の記事ではこの日本版Maasについてその現状をまとめていきたいと思います。

調査概要

Maasとは


まず一般的にMaaSとは、地域住民や旅行者の多様なニーズに対応して、複数の公共交通やカーシェア、シェアサイクルなどを組み合わせて検索・予約・決済などが一括でできる新たな移動サービスを指します。目的地における観光・医療など、交通以外のサービスとの連携により、移動の利便性向上や地域の課題解決に資する重要な手段と位置づけられています。

Maasの世界的な普及状況


MaaSは既に海外では様々な国々で導入が進められており、特にヨーロッパでは積極的に取り入れられています。
フィンランドやドイツでは行政主導のもとにMaaSプラットフォームが導入され、ユーザーは公共交通、自転車、タクシー、カーシェアなどを一つのアプリで利用できるようになっています。



また、隣国である台湾では行政システムをはじめとして様々な生活基盤でのデジタル化が進んでいますが、スマートフォンアプリを活用したMaaSが進められています。

日本版MaaSの普及状況


日本でも段階的ではありますが、MaaSに関する取り組みが様々な地域で行われています。
地方では農村地域での高齢化・公共交通機関の担い手不足を背景としてサブスク型で利用できるタクシーを事業者連携した北海道芽室町の「芽室Maas事業」などが有名です。

また、大都市部でもMaaSに対する実践は進められており、大手町・有楽町・丸の内の頭文字を取って「大丸有版MaaS事業」と名付けられたこ国土交通省が先導する事業も進められています。この事業では同エリア内の交通情報を一括して管理、可視化するプラットフォームの開発や自動運転バスなどに取り組んでいます。



日本版MaaSの課題


他国と比べたとき、日本版MaaSにはその普及に際して様々な課題を抱えていることが頻繁に指摘されています。

地域ごとの連携不足


日本の都市、特に地方になるとその土地における状況や交通ニーズは多様で、公共交通やモビリティサービスの提供者も異なります。そのため、地域ごとの連携が不足していることがあります。特に都市部と農村部の連携や、鉄道とバスの連携を以下に効率的に行うかが今後の課題です。

利用者の意識向上と普及促進


MaaSそのものの認知度が低いということもあり、実際に導入した地域でも利用者はまだ少ないため、一般の人々に対するMaaSはそのものの普及啓発が必要です。利用者がMaaSの便益を理解し、積極的に利用するための啓発活動が行政を中心に求められています

社会課題を解決するMaaS


今回取り上げたMaaSは物流問題に限らず、少子化・高齢化といった様々な社会課題にも対応すべくその速やかな導入が求められています。その際には国・行政・自治体・民間企業・地域住民が一体となった連携が重要と言えます。

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