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新しいデジタルコミュニケーションの形 バーチャルヒューマンとは?

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2000年代に入ってから、世界ではデジタル技を活用した人々のコミュニケーションが非常に速いスピードで進化しました。近年話題になっている生成AI等は2023年になってから加速度的に普及し、様々な分野での活用に向けて議論が進んでいます。
例えば文章生成AIであるChatGPTは人間が入力した言葉に対して、まるで人間のように自然な言葉で文章を作成します。一方で同じく注目されているのが文章ではなく顔や動作が人間そのもの似せて作られた「バーチャルヒューマン」という存在です。

今回の記事では、この新しいコミュニケーションの担い手として注目されている「バーチャルヒューマン」についてご紹介します。

鈴木脩一

鈴木脩一

研究員/広報

調査概要

バーチャルヒューマンとは


バーチャルヒューマン(Virtual Human)とは、3DCG等のデジタル技術を利用して作成された人間にそっくりな存在や技術そのものを指す言葉です。限りなく人間の外見や動作を再現することで、さまざまな活動を行うことができます。近年では、インフルエンサーやモデルとしてのバーチャルヒューマンが注目されており、世界的なバーチャル・インフルエンサーとして知られる【Lil Miquela】はInstagramで280万人(2023年6月現在)のユーザーからフォローされています。



日本国内ではモデルとして活躍している「imma」が初のバーチャル・モデルとされています。東京2020パラリンピックの閉会式にも登場したことで話題になり、その後化粧品メーカーとタイアップするなどますますその活躍の場を広げています。



バーチャルヒューマンの原型である「デジタルヒューマン」技術


このバーチャルヒューマンを実現するには3DCG技術や、演算処理等の様々な技術の進歩が必要でした。その土台となったのが「デジタルヒューマン」という考え方です。「デジタルヒューマン」はコンピューターシミュレーション上で実際の人間を再現する為の技術です。人間の身長や体重、骨格等の構造が同じ存在を作ることで様々な製品を利用したり、乗り物に乗ったりした時にどのような現象が発生するかをシミュレートすることができます。



Panasonicでは新しい食洗機をバーチャルヒューマンでシミュレーションすることで体への負担を従来品と計測の上比較し、快適性を数値化してPRを行っています
この「デジタルヒューマン」の技術が後に「バーチャルヒューマン」を制作する技術の基礎に繋がりました。人間をデータ的に再現するのみならず、音声や独自のビジュアルといった個性を付随されている一つの独立した存在が「バーチャルヒューマン」と言えます。

バーチャルヒューマンのメリット


人間の代わりにコミュニケーションを行う


バーチャルヒューマンは、現在様々な分野での利活用が進められており、多くのメリットが期待されています。その一つが人間の代わりとなってコミュニケーションを取ることです。
先ほど紹介したアーティストやモデル以外にも、バーチャルヒューマンが人間の代わりにサポートセンターや受付業務等で対応する試みが行われています。



ここでポイントになるのが近年話題のAIです。
このバーチャルヒューマンは受付に来た人の言葉を理解し、自動的に文章を生成し合成音声で反応します。このように、人間が行ってきた業務をバーチャルヒューマンが代わりに行うことで業務の効率化を行うことが可能です。

様々な制約から開放された活動が可能


バーチャルヒューマンは、システム面の環境が整っていればどこでもその活動を広げることができます。また、その服装やビジュアルや音声も自由に作ることが出来る為、実際の人間よりも制約が少なく、自由に活動ができることがメリットです。
それぞれの現場で求められる「理想的な人物」をゼロから作ることができ、かつ24時間どこでも活動できることは、活用する企業にとっても大きなプラスと言えます。近年では企業価値の損失にも繋がるSNSの炎上や不適切行為等のコンプライアンスに関わるリスクも限りなく抑えることができます。

現状の課題


バーチャルヒューマンのメリットについてご紹介しましたが、現状で課題点が無い訳ではありません。

コストと開発期間


より人間の印象に近づけたバーチャルヒューマンを開発するためには、精密な3DCGの開発に多くの時間とコストが必要です。また、自動で対応するための人工知能の開発なども含めるとさらなる投資が必要となります。現在はゲームや映画業界などのこれまで3DCGを活用してきた業界からもバーチャルヒューマンへの注目も集まっており、効率的な開発方法が生まれる可能性が期待できます。

3DCGに感じる違和感「不気味の谷」


人間がリアルな3DCGの人物を見た時に感じる感覚を表す言葉で「不気味の谷」というものがあります。この言葉は元々1970年に当時の東京工業大学森政弘教授が書いたエッセイのタイトルでした。このエッセイではロボットの外見や動きが人間に近づくほど、逆に不気味に感じる、ということが語られています。
この考え方は、3DCGが進化した現在に改めて注目されており、バーチャルヒューマンはリアルさを追求しながらいかにこの「不気味の谷」を超えるかが重要です。

まとめ


今回は今注目のバーチャルヒューマンに関してご紹介しました。
シミュレーションの対象として人間を再現するところから始まった技術が、バーチャルヒューマンとして発展した今、私達の生活を豊かなものにしていくことが期待されます。デジタル技術の進歩と共に人と人とのコミュニケーションが大きく変化しました。今後はこのバーチャルヒューマンの登場で、また新しいデジタルコミュニケーションの形が生まれるかもしれません。

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