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デジタルサイネージの活用事例 傾向と注目技術を紹介!

DX推進

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再び人々の移動が活発になってきた2023年は、様々なイベントや人気観光地、大型商業施設や駅や空港といった公共空間にも賑わいが戻りつつあります。この人々の活動の盛り上がりで改めて注目されるのが街中で見かける「デジタルサイネージ」です。

ある企業の調査*1によれば2022年の国内におけるデジタルサイネージ広告市場は690億円と前年比119%、2026年にはほぼ2倍の1338億円まで成長すると予測されています。

この数年でサイネージ機器そのものの技術的な水準の向上はもちろん、新しいコンテンツの事例も生まれています。
今回の記事では、デジタルサイネージの活用事例をはじめ、近年の傾向や注目技術など幅広くご紹介します。

*1:CARTA HOLDINGS、デジタルサイネージ広告市場調査を実施
~2022年のデジタルサイネージ広告市場規模は690億円の見通し、2026年には1,338億円と予測~
https://cartaholdings.co.jp/news/20221219_1/

鈴木脩一

鈴木脩一

研究員/広報

調査概要

大型の屋外広告への活用


デジタルサイネージが注目され始めた当初から屋外広告への活用は進められていましたが、ここ数年ではさらにその大型化も同時に進みました。
東京都新宿の新たなランドマークとも言える「クロス新宿ビジョン」は2021年から運用が開始され、その大きさだけでなく3D動画が体験できる大型サイネージとして国内外でも話題になりました。



そして、このデジタルサイネージの屋外広告活用事例として近年注目されたのが日本マクドナルド株式会社の『ランダムマック』です。この施設は、デジタルサイネージに関連する企業や団体で構成される一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアムが開催した『デジタルサイネージアワード2023』のグランプリにも選ばれるなど、大きな注目を浴びました。

この施策は、街中のデジタルサイネージに表示されているQRコードをスマートフォンで読み取るとメニューをランダムに提示し、ユーザーはそのまま購入・受け取りができるというものです。ポスター等の広告とは異なり、サイネージが設置されているエリアや条天候条件により広告内容をオンラインでリアルタイムに変更できる為、広告を見ている消費者に強い訴求を行えるという特徴があります。



AIを活用したコンテンツ


2020年代話題の技術としてAI(人工知能)は欠かすことはできません。デジタルサイネージにもこのAIの活用が進められています。例えば話題のChatGPTを搭載することで、サイネージの利用者とアバターなどを通した自然な対話が可能なサイネージの実証実験も様々な企業や団体で進行中です。

このAIをデジタルサイネージで音声認識と視覚表現に活用した「エキマトペ」が注目されています。



「エキマトペ」は駅の中の電車の走行音やアナウンス等の環境音を漫画の中の擬音(オノマトペ)のように表示したり、文字情報や手話映像で表示したりできるデジタルサイネージです。聴覚障害の人だけでなく、どんな人でも安心で使いやすい駅環境を目指して開発されました。
サイネージ内のマイクで読み取った駅の中のあらゆる音から、該当する音をAIが分析して「オノマトペ化」することが特徴です。さらに、駅員のアナウンスも状況に応じて変化するためリアルタイムで文字情報として表示します。

デジタルサイネージ設置場所の多様化


デジタルサイネージの今後の傾向として、設置される場所がさらに多様化することが挙げられます。先程取り上げた屋外広告の様にさらに大型化することはもちろんですが、軽量化・薄型化が進むことで設置可能な場所が広がっていくことが予想できます。

そして、現在注目されているのが「透明OLED」という技術です。
このサイネージは通常時透明で窓ガラスのように使用しますが、電気信号を通すことで透過させながら同時に映像を表示させます。今後は電車やバスといった公共交通機関から、自動運転で走行するモビリティの窓への使用が期待できる技術です。日本国内でも2021年に秋田駅と弘前駅・青森駅をつなぐ観光列車「リゾートしらかみ」の一部に採用されており、観光地の情報や天気などの情報を届けています。



まとめ


今回はデジタルサイネージの最新活用事例から今後の傾向や注目の技術をご紹介しました。

・今後サイネージの大型化と屋外広告としての活用はさらに進む
・ChatGPTや音声認識などのAI技術と連動したコンテンツが増える
・透明OLED等のハード技術の進歩で設置場所の自由度が上がる

人々の行動制限が緩和された2023年は、改めてリアルな場での人々の活動の価値が見直された年と言えます。人々のコミュニケーションを更に豊かなものにする技術の一つとして、デジタルサイネージからは目が離せません。


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